キャダストルの情報と不動産登記制度の連繋◆佐藤義人


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まえおき



キャダストルの意義



キャダストルの組織の概要



キャダストルの情報



コンピュータによるキャダストルの文字情報



マイクロフィッシュによるキャダストルの文字情報



紙を素材とするキャダストルの文字情報



普通地籍図



特別地籍図



地籍図の調製と修正



市町村役場の
キャダストルに関する情報




不動産登記カードボックスと不動産登記カード



キャダストルの情報と不動産登記カードボックスの一致



キャダストルの法的使命


まとめに

 普通地籍図


 地籍図 plan cadastral には、国土全域内の各市町村 chaque commune du territoire national に関して二つの種類が存在します。その一は、普通地籍図たる区分図 feuilles parcellaires であり、他の一つは、その集成図 tableau
d'assemblage です。

 また地籍図は一定の条件のもとで、いくつかの土地について、独自の版 édition de versions particulières、 すなわち次節において述べる特別地籍図 versions particulières du plan cadastral の作製を可能とします。

 普通地籍図 version traditionnelle du plan cadastral は、キャダストルの、情報的、法律的そして税務的使命 missions documentaires, juridiques et fiscals を遂行するための基本的な用具です。それは、すべての不動産の特定とその物理的現況 toute identification et de toute description physique de la propriété を明示する役割を果たしています。

 市町村の普通地籍図 plan cadastral d'une commune は、75cm×106cmのサイズ(それは、枚用紙版 grand aigle と呼ばれます。) の区分けされた枚葉の区分図(図郭紙)から成っており、この地籍図の最も重要な機能は、各土地の面積計算を容易にするための、土地の図表による記述 description graphique des biens です。

 区分図は、区域内の所有権に関する区分状況 morcellement en propriétés の詳細の全てを示します。さらに同一の所有権下の土地ついて、耕作地 terres cultivées として用いられている箇所は、その異なる作目 nature de culture différentes ごとの区分を、また、そこに建築されている建物の土地に対する収容度合 emprise au sol des bâtiments も表示しています。

 普通地籍図の縮尺は、おおむね、人口稠密な都市部 parties urbaines les plus denses のための500分の1から、過疎地のための5,000分の1で作製されていますが、縮尺が大きいほど、有形的な地物 éléments matériels その他の表示を、高密度で、地籍図に表すことができ、キャダストルの使命が達成されやすくなります。

 当該地籍図は、境界 limites、 リゥディ lieu-dit の名称、名称表示付の道路 voies de communication avec leur désignation、水圏(水系) hydrographie などを示し、また一筆地分割の基準点 points de repère de quadrillage あるいは地形測量作業 opérations topométriques 上の骨格基準点 sommets de canevas のような、地形測量上の詳細をも表すものです。

 さらに、作目 nature de culture と、壁 mur、 囲い柵 clôture、 垣根 haie、溝 fosse のような一筆地の界標 mitoyenneté des limites parcellaires を明らかにする数種の慣例記号 signes conventionnels も示しています。

〔地籍図の写しの交付申請書 DEMANDE DE REPRODUCTION(S) DU PLAN CADASTRAL〕 ※画像をクリックすると拡大します。


 地籍図の情報は、市町村を単位として、区 section、 リゥディ lieu-dit、 一筆地 parcelle、 税務上に関する区分 subdivision fiscale、 建物 bâtiment などの、より小さな種々の単位に再区分されます。一定の順序をもって示されるこれらの情報は、土地の特定の基礎 base de l'identification des biens となっています。

 区の範囲は、交通路 voies de communication、 河川 cours d'eau などの天然の境界 limites naturelles によって画されており、それは原則として、市町村の行政区域内 portion du territoire communal の全体をもれなく含むものです。区は地籍図上において、大文字 lettre majuscule または大文字の組合せにより識別されます。

 二つの文字の組合せによる[区の]識別標識 immatriculation par une double Letter は、一般に、キャダストルの更新 renouvellement、 補修 réfection、改製 rénovation、 再改製 remaniement 作業にともなう、新規の測量にもとづく地籍図 plans ayant donné lieu à un nouveau lever に対応するものです。

 識別標識の最初のタイプのものは、その標示が修正されなかったために、主に、アンシァンキャダストル ancien cadastre のそれを受け継いでおり、古い地籍図の簡単な改訂 simple mise à jour de l'ancien plan によって得られた修正地籍図 feuilles rénovées のものと一致します。

 土地の地番について述べると、一筆地の買収や収用 emprise d'une parcelle にともなう表示事項の修正 modification の場合には、原則として従前の一筆地の地番は廃止 suppression され、新たな地番が付定 creation されます。

 廃止された従前の地番 numéro ancient が再び用いられることはなく、地番区域において付定されている最後の地番のつぎの地番 suite du dernier numéro が、新しい地番として付定されます。したがって、地籍図の利用者 utilisateurs du plan cadastral は、自らが関心を有する一筆地についての、地籍図の各葉の識別が可能となります。

 地籍図の調製 confection du plan は、その部分的な改訂とは異なり、改製手続 procédure de la rénovation もしくは修正手続 procédure du remaniement のような、全体的作業 opérations d'ensemble によるものです。

 それはとりわけ、大きな市街化の発展を経験した地域 zones ayant connu d'importants développements urbains において見受けられ、例えば、過少縮尺または精度不足など échelle trop petite ou d'un manque de précision par exemple の理由により、現況に不適応あるいは使用困難 difficilement utilisables となった地籍図を作り直すときに行われます。

 地籍図の利用者は、土地の様相の異動 connaissance des changements des sols にしたがい、最新の状況に改訂された保存用地籍図原本(第一原図) plan minute De conservation を保有するキャダストルの事務所 bureau du cadastre と、市町村役場 mairie の二か所において、それにアクセスすることが可能です。

 キャダストルの事務所は、第一原図を複写した販売用地籍図 plans de vente を市販し、また、マイクロフッシュによる地籍図の葉の縮小版 réductions des feuilles de plan や、半枚用紙サイズ demi-grand aigle と27cm×42cmのサイズで作製された県単位の地図 cartes départementales、 さらに航空写真のネガの焼付 tirages de clichés de prises de vues aériennes などを交付しています。

 75cm×105cmサイズの地籍図葉 format des feuilles de plan (75×105 cm) は、ケースによっては、いくつかの用途に適さない場合があります。それゆえ、葉の縮小や拡大 réductions de feuilles ou des agrandissements がなされた複製 reproductions を入手することが可能です。

 もともと不透明な素材 support opaque を用いて作製されていた地籍図は、今日では透明な素材 support transparent を用いて作製されており、その素材に関する歴史は、わが国の公図(現行不動産登記法第14条の地図に準ずる図面)に関するそれと共通するところがあります。

〔フランス大統領官邸 le palaise de l'Élysée 付近の地籍図〕
※画像をクリックすると拡大します。


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