キャダストルの情報と不動産登記制度の連繋◆佐藤義人

<<目次>> まえおき キャダストルの意義 キャダストルの組織の概要 キャダストルの情報 コンピュータによるキャダストルの文字情報 マイクロフィッシュによるキャダストルの文字情報 紙を素材とするキャダストルの文字情報 普通地籍図 特別地籍図 地籍図の調製と修正 市町村役場の キャダストルに関する情報 不動産登記カードボックスと不動産登記カード キャダストルの情報と不動産登記カードボックスの一致 キャダストルの法的使命 まとめに	キャダストルの組織の概要 　キャダストルを所管しているキャダストル局は、現在のフランスの国家機構のなかにおいて、不動産登記所（抵当権保存所）　Bureau de la Conservation des Hypothèques　と同じく、経済財政産業省　Ministère de l'Economie, des Finances et de l'Industrie　下の国税局　Direction Générale des Impots　のもとにあり、全国に配置されたキャダストルの施設には下記のものがあります。 ①　国内313か所に設置された地方キャダストル局　bureau local du cadastre。 地方キャダストル局はまた、後述するように不動産税事務センター　Centre Des Impôts Foncière（CDIF） ともよばれています。 ②　土地に関する用途の把握ため、コンピュータによるキャダストル情報の改訂増補を所管する４か所の広域情報処理センター　Centres Régionaux Informatiques (CRI)。 ③　航空写真測量および地上測量にもとづく地籍図の調製のため、サン-ジェルマン-アン-レイ、レンヌ、マルセイユそしてトゥルーズの４か所に置かれ た測量に関する作業所。 ④　地籍図の再調製、ネガの複写・保存、キャダストルの原簿のマイクロフィッシュ編集を行うため、サン-ジェルマン-アン-レイに設置された国立キャダストル情報資料局　Service de la Documentation Nationale du Cadastre（SDNC）。 ⑤　職員の基礎職業教育を行うため、トゥルーズに置かれた国立キャダストル学校　École Nationale du Cadastre。 〔サン-ジェルマン-アン-レイ　Saint-Germain-en-Laye　の国立キャダストル情報資料局　Service de la Documentation Nationale du Cadastre（SDNC）。SDNCは、フランスのキャダストルに関する中核的施設と思われます。〕 　なお下図は、国土交通省の森田健児技官の論稿（「ドイツ･フランスの地籍 ⑵ 」 『国土調査』 №115/23頁/社団法人全国国土調査協会）における附図を参考として、キャダストルに関するフランスの組織の概要について記したものです。 　上記の附図との関連から留意すると、『フランスのキャダストル』には、つぎの記述がみられます。 «Il existe deux types de documentation littérale : celle à la disposition des services du cadastre (centre des impôts fonciers) et celle qui est dépose dans les mairies » 〔試訳〕 「キャダストルの文字による資料には２つのタイプが存在する。すなわちキャダ ストル局(不動産税事務センター)により使用される資料と、市町村役場に提出されたそれである。」 （STÉPHANE LAVIGNE『LE CADASTRE DE LA FRANCE』43頁） 　この記述から、キャダストル局はまた、不動産税事務センター　Centre Des Impôts Foncière(CDIF)　ともいわれており、文字による情報には、キャダストル局により使用される情報と、キャダストル局から市町村役場　mairies　へ提出された情報の二つのタイプ　deux types　があることが判ります。 〔国立キャダストル情報資料局（SDNC）のプレート〕
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