日本登記紀行・佐藤義人
		Mon chant préféré
		（1）
		永遠の Jim Reeves
		永遠の命のかがやきを放つ Jim Reeves。 Jim Reeves を讃える多くの動画や画像，そしてメッセージが YouTube に寄せられている。 私がもっとも感慨を覚えるのは，1964年4月15日，ノルウェイ王国の首都オスロ，Njårdhallen のスポーツハウスで行われたショーである。 Jim Reeves をはじめ，Bobby Bare，Chet Atkins，The Anita Kerr Singers，The Blue Boys らの豪華なメンバーからなるショウの会場は聴衆で埋め尽くされ，テレビカメラは，少なくとも5つの撮影方向に準備されている。 YouTube での放映時間は約58分であるが，おそらくショーの時間は2時間以上だったものと思われる。聴衆はその間，出演者の音楽に魅了され，視線と想いをひたすらステージに向け，静かにそして興奮しながら聴き入っている。 この日のショーの「とり」ともいうべき Jim Reeves は「I love you because」「Bimbo」「Four Walles」「Yonder Comes A Sucker」などを歌い，聴衆はJim と Blue Boys に大きな拍手と歓声をもって応える。ステージと会場は一つになっていたのであろう。 Jim Reeves は，オスロでの公演の最後を，Adios Amigo で締めくくっている。 Adios amigo, adios my friend The road we have travelled has come to an end When two love the same love, one love has to lose And it's you who she longs for, it's you she will choose Adios compadre, what must be must be Remember to name one muchacho for me I ride to the Rio, where my life I must spend Adios amigo, adios my friend Adios compadre, let us shed no tears May all your mañanas bring joy through the years Away from these memories, my life I must spend Adios amigo, adios my friend Jim Reeves は聴衆へ向け「Adios amigo, adios my friend」の歌詞を，少しの間をおき，二度繰り返し歌った。聴衆の去りがたい想いは万雷の拍手となっていた。 　　　　Jim Reeves - Adios Amigo (live)　by:manbehindthescreen Jim Reeves はこの日から約3か月後，1964年７月31日，アメリカ合衆国テネシー州デイヴィッドソン郡において小型飛行機の事故により死亡する。51年前のことである。「Adios amigo, adios my friend」という言葉は，ノルウェイの人々に対してのみでなく，全世界のファンへ向けられたものだったのだろうか。 1963年にケネディ大統領を，その翌年には Jim Reeves を喪くしたアメリカ国民は，悲嘆に昏れたことであろう。その様子は新聞報道からも知ることができる。Jim Reeves はケネディ大統領の暗殺に怒りを隠さなかったという。 Jim Reeves の死を，新聞の見出しは次のように報じている。 　　　Jim Reeves 39, Dies In Plane Crash At Peak Of Career テキサスのヴェルベットの歌声，不世出の歌手，Gentleman Jim は，多くの名曲をわれわれに遺し，40年の生涯を閉じ，そしてふたたび神のもとへと還っていった。 もし，Jim Reeves が「Adios amigo, adios my friend」を繰り返さなければ，もっと永く彼の歌を聴くことができたのだろうか…… Jim Reeves の没後，Jim Reeves Song，Jim Reeves Medley という言葉がうまれている。 Jim ReevesをGreatest Singer と評する歌手，Al Grant，Arne Benori，Charley Pride，Dick Curless（1932-1955），Jim Tobin らの番組にもこれらの言葉が用いられている。 高潔な人格，天性の歌唱力そして「ふつうの人」，Jim Reeves は，今もわれわれの心の中に生き，活動している。 Jim Reeves に，東洋の島国，日本の土も踏んでもらいたかったと心から思う。 　　　2015年12月6日（日曜日） 　　　佐藤義人 【文中のオスロ公演の動画は制限があるため、manbehindthescreen さんがアップロードしたJim Reeves - Adios Amigo (live)の動画，同じオスロ公演の一部>>（YouTube のページはこちら）にリンクさせていただきました。58分のオスロ公演は YouTube >>Jim Reeves & Bobby Bare m/f ~Njårdhallen, Oslo April 1964 ~ ((Full Show )) で全部ご覧いただけます。Jim Reeves の登場は43:30頃～、"Adios amigo" は54:55頃～です。】 ※二つ以上の動画を同時再生すると音声がかぶるのでご注意ください。 （表題のジム・リーヴスの写真は、所蔵の愛聴盤から引用しました）
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